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次の文章を読み,あとの各問に答えよ。
明治時代に作られた情報という言葉は,ある事柄の内容について文字などで伝達する知らせを表す意味として現在は用いられている。天気予報や経済成長率などの情報は,私たちの日々の暮らしに役立っている。
日本国憲法の中では,(1)自分の意見を形成し他者に伝える権利が,一定の決まり(ルール)の下で保障されている。
現代の社会は(2)情報が大きな役割を担うようになり,情報化社会とも呼ばれるようになった。その後,インターネットの普及は,私たちと情報との関わり方を変えることとなった。
(3)情報が新たな価値を生み出す社会では,企業の中で,情報化を推進し,課題の解決策を示したり,ソフトウェアを開発したりする,デジタル技術を活用できる人材を確保していくことの重要性が増している。また,(4)情報の活用を進め,社会の様々な課題を解決していくためには,新たな決まり(ルール)を定める必要がある。
〔問1〕 (1)自分の意見を形成し他者に伝える権利が,一定の決まり(ルール)の下で保障されている。とあるが,精神(活動)の自由のうち,個人の心の中にある,意思,感情などを外部に明らかにすることを保障する日本国憲法の条文は,次のア〜エのうちではどれか。
ア |
何人も,いかなる奴隷的拘束も受けない。又,犯罪に因る処罰の場合を除いては,その意に反する苦役に服させられない。 |
イ |
思想及び良心の自由は,これを侵してはならない。 |
ウ |
何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。 |
エ |
集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。 |
〔問2〕 (2)情報が大きな役割を担うようになり,情報化社会とも呼ばれるようになった。とあるが,次のⅠの略年表は,1938年から1998年までの,我が国の情報に関する主な出来事をまとめたものである。Ⅱの文章は,Ⅰの略年表中のア〜エのいずれかの時期における社会の様子について,①は通信白書の,②は国民生活白書の一部をそれぞれ分かりやすく書き改めたものである。Ⅱの文章で述べている時期に当てはまるのは,Ⅰの略年表中のア〜エの時期のうちではどれか。
Ⅰ
Ⅱ
① |
私たちの社会は,情報に対する依存を強めており,情報の流通は食料品や工業製品などの流通,つまり物流と同等あるいはそれ以上の重要性をもつようになった。 |
② |
社会的な出来事を同時に知ることができるようになり,テレビやラジオを通じて人々の消費生活も均質化している。また,節約の経験により,本当に必要でなければ買わないで今持っているものの使用期間を長くする傾向が,中東で起きた戦争の影響を受けた石油危機から3年後の現在も見られる。 |
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〔問3〕 (3)情報が新たな価値を生み出す社会では,企業の中で,情報化を推進し,課題の解決策を示したり,ソフトウェアを開発したりする,デジタル技術を活用できる人材を確保していくことの重要性が増している。とあるが,次のⅠの文章は,2019年の情報通信白書の一部を分かりやすく書き改めたものである。Ⅱのグラフは,2015年の我が国とアメリカ合衆国における情報処理・通信に携わる人材の業種別割合を示したものである。Ⅱのグラフから読み取れる,Ⅰの文章が示された背景となる我が国の現状について,我が国より取り組みが進んでいるアメリカ合衆国と比較して,情報通信技術を提供する業種と利用する業種の構成比の違いに着目し,簡単に述べよ。
Ⅰ
○ |
今後,情報通信技術により,企業は新しい製品やサービスを市場に提供することが可能となる。 |
○ |
新たな製品やサービスを次々と迅速に開発・提供していくために,情報通信技術を利用する業種に十分な情報通信技術をもった人材が必要である。 |
Ⅱ
(注)四捨五入をしているため,情報処理・通信に携わる人材の業種別割合を合計したものは,にならない場合がある。
(独立行政法人情報処理推進機構資料より作成)
〔問4〕 (4)情報の活用を進め,社会の様々な課題を解決していくためには,新たな決まり(ルール)を定める必要がある。とあるが,次のⅠのA〜Eは,令和3年の第204回通常国会で,情報通信技術を用いて多様で大量の情報を適正かつ効果的に活用することであらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会の形成について定めた「デジタル社会形成基本法」が成立し,その後,公布されるまでの経過について示したものである。Ⅱの文で述べていることが行われたのは,下のア〜エのうちではどれか。
Ⅰ
A |
第204回通常国会が開会される。(1月18日) |
B |
法律案が内閣で閣議決定され,国会に提出される。(2月9日) |
C |
衆議院の本会議で法律案が可決される。(4月6日) |
D |
参議院の本会議で法律案が可決される。(5月12日) |
E |
内閣の助言と承認により,天皇が法律を公布する。(5月19日) |
(衆議院,参議院のホームページより作成)
Ⅱ
衆議院の内閣委員会で法律案の説明と質疑があり,障害の有無などの心身の状態による情報の活用に関する機会の格差の是正を着実に図ることや,国や地方公共団体が公正な給付と負担の確保のための環境整備を中心とした施策を行うことを,原案に追加した修正案が可決される。
ア AとBの間
イ BとCの間
ウ CとDの間
エ DとEの間