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次の文章を読み,あとの各問に答えよ。
世界各国では,株式会社や国営企業などが,(1)利潤を追求するなどの目的で誕生してきた。
人口が集中し,物資が集積する交通の要衝に設立された企業や,地域の自然環境や地下資源を生かしながら発展してきた企業など,(2)企業は立地条件に合わせ多様な発展を見せてきた。
(3)我が国の企業は,世界経済の中で,高度な技術を生み出して競争力を高め,我が国の経済成長を支えてきた。今後は,国際社会において,地球的規模で社会的責任を果たしていくことが,一層求められている。
〔問1〕 (1)利潤を追求するなどの目的で誕生してきた。とあるが,次のア〜エは,それぞれの時代に設立された企業について述べたものである。時期の古いものから順に記号を並べよ。
ア |
綿織物を大量に生産するために産業革命が起こったイギリスでは,動力となる機械の改良が進み,世界最初の蒸気機関製造会社が設立された。 |
イ |
南部と北部の対立が深まるアメリカ合衆国では,南北戦争が起こり,西部開拓を進めるために大陸を横断する鉄道路線を敷設する会社が設立された。 |
ウ |
第一次世界大戦の休戦条約が結ばれ,ベルサイユ条約が締結されるまでのドイツでは,旅客輸送機の製造と販売を行う会社が新たに設立された。 |
エ |
スペインの支配に対する反乱が起こり,ヨーロッパの貿易で経済力を高めたオランダでは,アジアへの進出を目的とした東インド会社が設立された。 |
〔問2〕 (2)企業は立地条件に合わせ多様な発展を見せてきた。とあるが,下の表のア〜エの文章は,略地図中に示したA〜Dのいずれかの都市の歴史と,この都市に立地する企業の様子についてまとめたものである。A〜Dのそれぞれの都市に当てはまるのは,下のア〜エのうちではどれか。
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《都市の歴史と,この都市に立地する企業の様子》
ア
○ |
この都市は,標高を超え,強風を遮るすり鉢状の地形に位置する首都で,1548年にスペイン人により建設され,金鉱もあったことから発展し,政治と経済の拠点となった。 |
○ |
国営企業が,銀,亜鉛などの鉱山開発を行っており,近年では,新たに国営企業が設立され,塩湖でのリチウムイオン電池の原料の採取を複数の外国企業と共同で行っている。 |
イ
○ |
この都市は,標高を超える山脈の北側に位置する首都で,内陸部にはイスラム風の旧市街地が,沿岸部にはフランスの影響を受けた建物が見られる港湾都市となっている。 |
○ |
独立後に設立された,砂漠地帯で採掘される天然ガスや石油などを扱う国営企業は,近年,石油の増産と輸出の拡大に向けて外国企業との共同開発を一層進めている。 |
ウ
○ |
この都市は,1701年にフランス人により砦が築かれ,毛皮の交易が始まり,水運の拠点となり,1825年に東部との間に運河が整備され,20世紀に入り海洋とつながった。 |
○ |
19世紀後半には自動車の生産が始まり,20世紀に入ると大量生産方式の導入により,自動車工業の中心地へと成長し,現在でも巨大自動車会社が本社を置いている。 |
エ
○ |
この都市は,20世紀に入り,湖の南西部に広がる市街地に国際連盟の本部が置かれ,第二次世界大戦後は200を超える国際機関が集まる都市となった。 |
○ |
16世紀後半に小型時計製造の技術が伝わったことにより精密機械関連企業が立地し,近年では生産の合理化や販売網の拡大などを行い,高価格帯腕時計の輸出量を伸ばしている。 |
〔問3〕 (3)我が国の企業は,世界経済の中で,高度な技術を生み出して競争力を高め,我が国の経済成長を支えてきた。とあるが,次のⅠのグラフは,1970年度から2018年度までの我が国の経済成長率と法人企業の営業利益の推移を示したものである。Ⅱの文章は,Ⅰのグラフのア〜エのいずれかの時期における我が国の経済成長率と法人企業の営業利益などについてまとめたものである。Ⅱの文章で述べている時期に当てはまるのは,Ⅰのグラフのア〜エの時期のうちではどれか。
Ⅰ
(財務省「法人企業統計調査」などより作成)
Ⅱ
○ |
この時期の前半は,アメリカ合衆国の経済政策によって円安・ドル高が進行し,自動車などの輸送用機械や電気機械の輸出量が増えたことで,我が国の貿易収支は大幅な黒字となり,経済成長率は上昇傾向を示した。 |
○ |
この時期の後半は,国際社会において貿易収支の不均衡を是正するために為替相場を円高・ドル安へ誘導する合意がなされ,輸出量と輸出額が減少し,我が国の経済成長率は一時的に下降した。その後,日本銀行が貸付のための金利を下げたことなどで,自動車や住宅の購入,株式や土地への投資が増え,株価や地価が高騰する好景気となり,法人企業の営業利益は増加し続けた。 |