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次の文章を読み,あとの各問に答えよ。
地方自治は,民主政治を支える基盤である。地方自治を担う地方公共団体は,住民が安心した生活を送ることができるように,地域の課題と向き合い,その課題を解決する重要な役割を担っている。(1)日本国憲法では,我が国における地方自治の基本原則や地方公共団体の仕組みなどについて規定している。
地方自治は,住民の身近な生活に直接関わることから,(2)住民の意思がより反映できるように,直接民主制の要素を取り入れた仕組みになっている。
国は,民主主義の仕組みを一層充実させ,住民サービスを向上させるなどの目的で,(3)1999年に地方分権一括法を成立させ,国と地方が,「対等・協力」の関係で仕事を分担できることを目指して,地方公共団体に多くの権限を移譲してきた。現在では,全国の地方公共団体が地域の課題に応じた新たな取り組みを推進できるように,国に対して地方分権改革に関する提案を行うことができる仕組みが整えられている。
〔問1〕 (1)日本国憲法では,我が国における地方自治の基本原則や地方公共団体の仕組みなどについて規定している。とあるが,日本国憲法が規定している地方公共団体の仕事について述べているのは,次のア〜エのうちではどれか。
ア |
条約を承認する。 |
イ |
憲法及び法律の規定を実施するために,政令を制定する。 |
ウ |
条例を制定する。 |
エ |
一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する。 |
〔問2〕 (2)住民の意思がより反映できるように,直接民主制の要素を取り入れた仕組みになっている。とあるが,住民が地方公共団体に対して行使できる権利について述べているのは,次のア〜エのうちではどれか。
ア |
有権者の一定数以上の署名を集めることで,議会の解散や,首長及び議員の解職,事務の監査などを請求することができる。 |
イ |
最高裁判所の裁判官を,任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に,直接投票によって適任かどうかを審査することができる。 |
ウ |
予算の決定などの事項について,審議して議決を行ったり,首長に対して不信任決議を行ったりすることができる。 |
エ |
国政に関する調査を行い,これに関して,証人の出頭及び証言,記録の提出を要求することができる。 |
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〔問3〕 (3)1999年に地方分権一括法を成立させ,国と地方が,「対等・協力」の関係で仕事を分担できることを目指して,地方公共団体に多くの権限を移譲してきた。とあるが,次のⅠのグラフは,1995年から2019年までの我が国の地方公共団体への事務・権限の移譲を目的とした法律改正数を示したものである。Ⅱの文章は,2014年に地方公共団体への事務・権限の移譲を目的とした法律改正が行われた後の,2014年6月24日に地方分権改革有識者会議が取りまとめた「個性を活かし自立した地方をつくる〜地方分権改革の総括と展望〜」の一部を分かりやすく書き改めたものである。ⅠとⅡの資料を活用し,1995年から2014年までの期間と比較した,2015年から2019年までの期間の法律改正数の動きについて,地方分権改革の推進手法と,毎年の法律改正の有無及び毎年の法律改正数に着目して,簡単に述べよ。
Ⅰ
(内閣府資料より作成)
Ⅱ
○ |
これまでの地方分権改革の推進手法は,国が主導する短期集中型の方式であり,この取組を実施することで一定の成果を得ることができた。 |
○ |
今後は,これまでの改革の理念を継承し,更に発展させていくことが重要である。 |
○ |
今後の地方分権改革の推進手法については,地域における実情や課題を把握している地方公共団体が考え提案する長期継続型の方式を導入する。 |