3 

  (つぎ)文章(ぶんしょう)()んで、あとの各問(かくとい)(こた)えよ。(*(しるし)()いている言葉(ことば)には、本文(ほんぶん)あとに(ちゅう)〕がある。)

    高校生(こうこうせい)美緒(みお)は、母親(ははおや)との()(あらそ)いをきっかけに、父方(ちちかた)祖父(そふ)(いとな)岩手(いわて)染織(せんしょく)工房(こうぼう)生活(せいかつ)(はじ)織物(おりもの)制作(せいさく)(まな)んでいる。八月(はちがつ)上旬(じょうじゅん)父親(ちちおや)広志(ひろし)から電話(でんわ)あり、母親(ははおや)(とも)岩手(いわて)()くのでひとまず一緒(いっしょ)東京(とうきょう)(かえ)らないか()われた。(おな)(ころ)ショール(づく)りの練習(れんしゅう)して(つく)(はじ)めたカーテンの(いろ)()かねていた美緒(みお)は、祖父(そふ)から「コレクションルーム」で()()った(いろ)(さが)すように()われた。

  「おどる12(にん)おひめさま」と()かれた背表紙(せびょうし)()つけ、美緒(みお)(ほん)()()る。

「これ、この絵本(えほん)これはまったく(おな)じのを()ってた。」

  ページをめくると、(もり)風景(ふうけい)()(まえ)(ひろ)がった。

  十二人(じゅうににん)姫君(ひめぎみ)(たの)しそうに(ぎん)(もり)(きん)(もり)ダイヤモンドの(もり)(すす)んでいく。

「でも、あれ?  なんか印象(いんしょう)(ちが)……すごくきれい。(むかし)()んだときは()(こわ)くて、全然(ぜんぜん)()きじゃなかったんだけど。」

  祖父(そふ)(となり)本棚(ほんだな)(まえ)(ある)いていった。

「エロール・ル・カインが()つけたその(はなし)グリム童話(どうわ)ドイツ(じん)編纂(へんさん)だ。この(はなし)()伝承(でんしょう)イギリス(じん)編纂(へんさん)したものがある。そちらはカイ・ニールセンという画家(がか)挿絵(さしえ)(えが)いているんだが。」

  祖父(そふ)(ほん)()()り、(もど)ってきた。こちらのタイトルは漢字(かんじ)十二人(じゅうににん)(おど)姫君(ひめぎみ)」とある。

  あっ、(ふたた)(こえ)()た。

「それも()ってたよ。誕生日(たんじょうび)プレゼントにもらったの。」

2

  ほお、祖父(そふ)感心(かんしん)したような(こえ)()げた。

「これはなかなか()(はい)づらい(ほん)だ。ずいぶん(さが)したんだろうな。」

  それを()いて、うしろめたくなった。

  この(ほん)()つの(はなし)(あつ)めた童話集(どうわしゅう)だ。(なが)(あいだ)本棚(ほんだな)()いていたが、中学生(ちゅうがくせい)なるとき、中学(ちゅうがく)入試(にゅうし)問題集(もんだいしゅう)一緒(いっしょ)処分(しょぶん)しようとしたところを*祖母(そぼ)()つけ、横浜(よこはま)(いえ)()(かえ)っていった。

  この(ほん)にもやはり(もり)()けていく十二人(じゅうににん)姫君(ひめぎみ)()あった。繊細(せんさい)(せん)(えが)かれた()とても神秘的(しんぴてき)だ。

「こんなきれいな(ほん)だったっけ、これも。」

日本(にほん)絵本(えほん)いいぞ。(じつ)これは*ホームスパンではないかと、(わたし)ひそかに(おも)っている(はなし)ある。」

  祖父(そふ)もう一冊(いっさつ)絵本(えほん)()()した。

宮沢(みやざわ)賢治(けんじ)(さく)黒井(くろい)(けん)()水仙月(すいせんづき)四日(よっか)」とある。

  (ほん)(とびら)()けると、(ゆき)かぶった(やま)風景(ふうけい)()(うば)われた。この数ヶ月(すうかげつ)すっかり()(おぼ)えた(やま)(かたち)だ。

「これ、もしかして、岩手山(いわてさん)?」

宮沢(みやざわ)賢治(けんじ)花巻(はなまき)盛岡(もりおか)()きた(ひと)だからな。」

  さらにページをめくると、(あか)毛布(もうふ)(あたま)からかぶった()どもが一人(ひとり)雪原(せつげん)()姿(すがた)(えが)かれていた。

「この()かぶっているの、*(わたし)ショールみたい。」

  そうだろう?  (こた)え、祖父(そふ)(いつく)しむように文章(ぶんしょう)(ゆび)なぞった。

「ここに(あか)毛布(けっと)()かれているが、(わたし)この()(あか)ホームスパンをかぶっていたのだと(おも)う。雪童子(*ゆきわらす)(こころ)とらえ、()どもの(いのち)(まも)()いた(あか)(ぬの)は、田舎者(いなかもの)代名詞(だいめいし)赤毛布(あかけっと)より、この()母親(ははおや)(いえ)(つむ)いで(つく)った毛織物(けおりもの)だと(おも)ったほうがロマンがあるじゃないか。(はなし)ついでだ。(わたし)自慢(じまん)していいだろうか。」

「うん、()かせて!」

  祖父(そふ)()のび、(かる)(あたま)()れた。すぐに()(はな)れ、祖父(そふ)さらに(おく)本棚(ほんだな)へと(ある)いていった。一瞬(いっしゅん)だが、(あたま)なでられたことに気付(きづ)き、きまりが(わる)いような、(うれ)しいような(おも)いで、祖父(そふ)背中(せなか)()う。

(1)「ねえ、おじいちゃん。あの(たな)(ほん)あとで(わたし)部屋(へや)()っていっていい?」

一声(ひとこえ)かけてくれれば、なんでも()っていっていいぞ。」

  一番(いちばん)(おく)(たな)(まえ)祖父(そふ)(あし)()めた。そこには分厚(ぶあつ)(よこ)ふくらんだノートが()まっている。

  祖父(そふ)一冊(いっさつ)()()った。(ひだり)ページには()(たた)まれた()一枚(いちまい)()ってある。さきほど()絵本(えほん)水仙月(すいせんづき)四日(よっか)」の(いち)ページだ。

  (みぎ)ページにはその()使(つか)われている(いろ)と、まったく(おな)(いろ)()められた(いと)見本(みほん)()ってあった。(つぎ)ページには、たくさんの化学(かがく)記号(きごう)数値(すうち)()()まれている。

「これって、()使(つか)われた(いろ)全部(ぜんぶ)(いと)()めてあるの?」

「そうだよ。カイ・ニールセンやル・カインの絵本(えほん)(いと)ある。」

  祖父(そふ)(べつ)ノートを(ひろ)げると、さきほど()十二人(じゅうににん)(おど)姫君(ひめぎみ)」の()(ひだり)ページに()られていた。「ダイヤモンドの(もり)」の場面(ばめん)だ。

  このノートも、水仙月(すいせんづき)四日(よっか)」と(おな)じく、()使(つか)われている(いろ)同色(どうしょく)(いと)(みぎ)()られている。

「この(いと)(ぬの)()ったら、()再現(さいげん)できるね。」

()りで()表現(ひょうげん)するのは(むずか)しいが、刺繍(ししゅう)いう()あるな。」

3

「この(いと)(なに)つくったの?  ()せて!」

(なに)つくっていない。(ねら)った(いろ)きちんと()められるかデータを()っていたんだ。ここにあるノートは(わたし)(ちち)(だい)からの()めの記録(きろく)だ。数値通(すうちどお)りにすれば、完璧(かんぺき)()められるというわけでもないが、(みち)しるべみたいなものだな。」

  (した)(たな)ある(ふる)びたノートを()()すと、(かみ)(あわ)茶色(ちゃいろ)()わっていた。鉛筆(えんぴつ)びっしりと()かれている角張(かくば)った文字(もじ)は、祖父(そふ)とは(ちが)筆跡(ひっせき)だ。

「もしかして、これが、ひいおじいちゃんの()?」

  祖父(そふ)うなずき、中段(ちゅうだん)(たな)から一冊(いっさつ)()した。

「このあたりの番号(ばんごう)ノートから(わたし)()めに参加(さんか)している。この時期(じき)(ちち)助手(じょしゅ)だったが。」

  (2)ノートをのぞくと角張(かくば)った()と、(なが)れるような書体(しょたい)祖父(そふ)筆跡(ひっせき)()じっていた。

  曾祖父(そうそふ)存在(そんざい)(つよ)(かん)じ、美緒(みお)ノートの()()れてみる。

  (かお)姿(すがた)想像(そうぞう)できないが、何十年(なんじゅうねん)(まえ)に、このノートに曾祖父(そうそふ)文字(もじ)()いたのだ。

「お(とう)さんがこの(まえ)()ってた……ひいおじいちゃんの口癖(くちぐせ)丁寧(ていねい)仕事(しごと)()らしに役立(やくだ)モノづくり』だって。」

(ふる)(はなし)広志(ひろし)よく(おぼ)えていたな。」

  祖父(そふ)微笑(ほほえ)み、羽箒(はねぼうき)(たな)ほこりをはらった。

「おじいちゃんは、(とう)さんが仕事(しごと)()がなくてがっかりした?」

「がっかりはしなかった。」

  (3)即答(そくとう)したが、そのあとの言葉(ことば)祖父(そふ)()まった。

  しばらく(だま)ったのち、(ちい)さな(こえ)した。

「ただ……(さび)しくはあったな。それでも、(むすめ)美緒(みお)名付(なづ)けたと()いたとき、広志(ひろし)家業(かぎょう)ことを(ふか)(おも)っていたのがわかった。だから、それでいいと(おも)ったよ。」

「えっ?  そんな(はなし)()いたことない。(わたし)名前(なまえ)(なに)意味(いみ)あるの?」

  祖父(そふ)が、曾祖父(そうそふ)つけていたノートに()()とした。

()いう漢字(かんじ)は、(ひつじ)(おお)きいという()()わせて(つく)られた文字(もじ)だ。()とは(いと)そして(いのち)いう意味(いみ)ある。美緒(みお)とはすなわち(うつく)しい(いと)(うつく)しい(いのち)いう意味(いみ)だ。」

  (うつく)しい(いと)祖父(そふ)つぶやいた。

美緒(みお)いう名前(なまえ)なかには、(おお)きな(ひつじ)(いと)(わたし)たちの仕事(しごと)(はい)っている。家業(かぎょう)(つづ)かなくとも、(うつく)しい(いのち)(いと)(つづ)いていくんだ。」

  (4)()(まえ)ある大量(たいりょう)ノートを美緒(みお)()つめる。

  曾祖父(そうそふ)祖父(そふ)(あつ)めてきたデータの蓄積(ちくせき)このノートを使(つか)いこなせれば、自分(じぶん)(おも)った(いろ)羊毛(ようもう)(いと)()めることができる。

  その(わざ)()っているのは、さっき(あたま)()れた祖父(そふ)()だけだ。

「おじいちゃん……(わたし)()めも自分(じぶん)やってみたい。」

  祖父(そふ)ノートを(たな)(もど)した。

()めは大人(おとな)仕事(しごと)だ。(あつ)いし、(あぶ)ない。力仕事(ちからしごと)だから(こし)(いた)める。()めの工程(こうてい)この(あいだ)*コチニール()めでわかっただろう?  それで十分(じゅうぶん)だ。」

(あつ)いの大丈夫(だいじょうぶ)だよ。(あぶ)ないことも()()ける。」

()()けているときには事故(じこ)おきない。それがふっと途切(とぎ)れたときに間違(まちが)いがおきるんだ。そのとき即座(そくざ)対応(たいおう)できる決断力(けつだんりょく)ほしい。(わたし)年寄(としよ)りだから、その(ちから)(にぶ)っているよ。美緒(みお)(けっ)して得意(とくい)ほうではないだろう。」

4

「でも……。」

「ショールの(いろ)()まったか?  自分(じぶん)()きな(いろ)これからを(たく)(いろ)()つけられたか?」

「まだ、です。(さが)してるけど。」

  ショールの(いろ)だけではなく、部屋(へや)カーテンの(いろ)まだ()められない。

  口調(くちょう)(おだ)やかだが、決断力(けつだんりょく)()けていることを指摘(してき)され、(かお)(した)()いた。

  *せがなくていい、祖父(そふ)ポケットから(ちい)さな(かみ)()した。

(いろ)ゆっくり(かんが)えればいい。だが、そろそろ()(もの)()ってくれるか。来週(らいしゅう)なんてすぐだぞ。(とう)さんたちをもてなす準備(じゅんび)(はじ)めようじゃないか。」

  (5)はい、小声(こごえ)(こた)え、美緒(みお)メモを()()る。

  ショールの(いろ)だけではない。東京(とうきょう)ひとまず(かえ)るか、この(なつ)ずっと祖父(そふ)(いえ)()ごすか。

  それを(ちち)()決断(けつだん)つけられずにいる。

  祖父(そふ)コレクションルームから()なる画集(がしゅう)絵本(えほん)部屋(へや)(はこ)んだあと、いつもはスープを()れているステンレスボトルに(みず)()れ、盛岡(もりおか)(まち)()かけた。

伊吹(いぶき)有喜(ゆき)(くも)(つむ)ぐ」による)

(ちゅう)

祖母(そぼ)—— 美緒(みお)母方(ははかた)祖母(そぼ)横浜(よこはま)()んでいる。

ホームスパン—— ()(つむ)ぎの毛糸(けいと)手織(てお)した毛織物(けおりもの)

(わたし)ショール—— 美緒(みお)生後(せいご)()ない(ころ)父方(ちちかた)祖父母(そふぼ)から(おく)られた、とても大切(たいせつ)している(あか)手織(ており)ショール。

雪童子(ゆきわらす)—— 子供(こども)姿(すがた)している(ゆき)(せい)

コチニール()—— コチニールカイガラムシから()れる赤色(あかいろ)天然(てんねん)色素(しきそ)(もち)いた染色(せんしょく)作業(さぎょう)

せがなくていい —— (いそ)がなくてよい。

(とい)1   (1)「ねえ、おじいちゃん。あの(たな)(ほん)あとで(わたし)部屋(へや)()っていっていい?」あるが、このときの美緒(みお)気持(きも)ちに(もっと)(ちか)いのは、(つぎ)うちではどれか。

(おさな)(ころ)(かん)じられなかった、絵本(えほん)(うつく)しさや(たの)しさに気付(きづ)かせてくれた祖父(そふ)(した)しみを(いだ)き、祖父(そふ)(ほん)もっと()みたいと(おも)気持(きも)ち。
祖父(そふ)絵本(えほん)登場(とうじょう)する(ふく)(いろ)着目(ちゃくもく)していることに興味(きょうみ)もち、自分(じぶん)(ほん)(たな)(ほん)研究(けんきゅう)して、祖父(そふ)(みと)めてもらいたいと(おも)気持(きも)ち。
祖父(そふ)親愛(しんあい)(じょう)(しめ)してくれたことを(うれ)しく(かん)じ、自分(じぶん)(たな)(ほん)興味(きょうみ)(しめ)ことによって、祖父(そふ)もっと(よろこ)ばせたいと(おも)気持(きも)ち。
会話(かいわ)(つう)じて祖父(そふ)人柄(ひとがら)(かんが)(かた)ひかれ、祖父(そふ)(あつ)めてきた(たな)(ほん)()ことで、(ほん)(この)みや(えら)(かた)()りたいと(おも)気持(きも)ち。

5

(とい)2   (2)ノートをのぞくと角張(かくば)った()と、(なが)れるような書体(しょたい)祖父(そふ)筆跡(ひっせき)()じっていた。あるが、この表現(ひょうげん)ついて()べたものとして(もっと)適切(てきせつ)なのは、(つぎ)うちではどれか。

祖父(そふ)曾祖父(そうそふ)厳格(げんかく)さに反発(はんぱつ)する気持(きも)ちをもっていたことを、二人(ふたり)対照的(たいしょうてき)書体(しょたい)対比(たいひ)させて(えが)ことで、象徴的(しょうちょうてき)表現(ひょうげん)している。
祖父(そふ)曾祖父(そうそふ)(とも)芸術的(げいじゅつてき)表現(ひょうげん)追求(ついきゅう)していたことを、二人(ふたり)筆跡(ひっせき)たとえを(もち)いて技巧的(ぎこうてき)(えが)ことで、情緒的(じょうちょてき)表現(ひょうげん)している。
祖父(そふ)曾祖父(そうそふ)(とも)()めに(たずさ)わりつつ記録(きろく)()()いできたことを、二人(ふたり)(こと)なる筆跡(ひっせき)視覚的(しかくてき)(えが)ことで、印象的(いんしょうてき)表現(ひょうげん)している。
祖父(そふ)曾祖父(そうそふ)(とも)(いろ)(あざ)やかで(うつく)しい(いと)(つむ)仕事(しごと)(つづ)けてきたことを、二人(ふたり)字形(じけい)色彩(しきさい)絵画的(かいがてき)(えが)ことで、写実的(しゃじつてき)表現(ひょうげん)している。

(とい)3   (3)即答(そくとう)したが、そのあとの言葉(ことば)祖父(そふ)()まった。あるが、祖父(そふ)「そのあとの言葉(ことば)()まったわけとして(もっと)適切(てきせつ)なのは、(つぎ)うちではどれか。

一度(いちど)否定(ひてい)したものの、当時(とうじ)()(かえ)って本当(ほんとう)がっかりしていたのだと(おも)(なお)し、そのときの気持(きも)ちを美緒(みお)(つた)えたいと(おも)っていたから。
息子(むすこ)自立(じりつ)したときに(いだ)いた(せつ)なさと、家業(かぎょう)(たい)する息子(むすこ)(おも)いを()(はか)っていたことを()(かえ)りつつ、美緒(みお)(つた)える言葉(ことば)(さが)していたから。
息子(むすこ)(すす)んだ(みち)理解(りかい)(しめ)しつつも、(こころ)(そこ)(いだ)いてきた(さび)しさや疑問(ぎもん)不意(ふい)(ふく)()がり、気持(きも)ちを懸命(けんめい)(おさ)えようとしていたから。
気落(きお)しなかったと(こた)えたのは、祖父(そふ)してただ威厳(いげん)(しめ)そうとしたためだったと気付(きづ)き、美緒(みお)どう説明(せつめい)すべきか(まよ)っていたから。

(とい)4   (4)()(まえ)ある大量(たいりょう)ノートを美緒(みお)()つめる。あるが、この表現(ひょうげん)から()()れる美緒(みお)」の様子(ようす)して(もっと)適切(てきせつ)なのは、(つぎ)うちではどれか。

脈々(みゃくみゃく)(つづ)いている生命(せいめい)家業(かぎょう)技術(ぎじゅつ)(とうと)(かん)じつつ、(ちち)自分(じぶん)名前(なまえ)()めた家業(かぎょう)継承(けいしょう)への期待(きたい)()って徐々(じょじょ)意欲(いよく)(たか)めている様子(ようす)
()(まえ)ある大量(たいりょう)ノートに(しる)されたこれから(かか)わろうとしている仕事(しごと)(りょう)(しつ)(たか)さに戸惑(とまど)い、自分(じぶん)(つたな)さを(つよ)(かん)じている様子(ようす)
曾祖父(そうそふ)祖父(そふ)染色(せんしょく)への(おも)いや労力(ろうりょく)敬服(けいふく)するとともに、(ちち)大切(たいせつ)(おも)っていた家業(かぎょう)()がなかった真意(しんい)(はか)かねている様子(ようす)
曾祖父(そうそふ)祖父(そふ)研究(けんきゅう)(おも)みや自分(じぶん)名前(なまえ)()められた(ちち)(おも)いを想起(そうき)しつつ、ノートに(したが)って(いと)()めてみたいと(かんが)えている様子(ようす)

(とい)5   (5)はい、小声(こごえ)(こた)え、美緒(みお)メモを()()る。あるが、このときの美緒(みお)」の気持(きも)ちに(もっと)(ちか)いのは、(つぎ)うちではどれか。

()めに()()ことが(みと)められなかったことはもっともだと納得(なっとく)し、ショールの(いろ)()められない自分(じぶん)優柔(ゆうじゅう)不断(ふだん)さを嫌悪(けんお)するが、父親(ちちおや)たちにはまだ自分(じぶん)能力(のうりょく)限界(げんかい)だとは(おも)われたくないと(ねが)気持(きも)ち。
()めの希望(きぼう)かなわず残念(ざんねん)(おも)うものの、決断力(けつだんりょく)(よわ)さを指摘(してき)されてもなお()めに(たい)する意欲(いよく)(うしな)わず、父親(ちちおや)たちとの再会(さいかい)(おも)いを(めぐ)らす(なか)自分(じぶん)これからのことをどのように(つた)えるべきか(まよ)気持(きも)ち。
()めに()()みたいという(ねが)いがかなわなかったことに(かな)しみが()()げ、(いそ)がなくてよいという祖父(そふ)(なぐさ)めの言葉(ことば)と、(ちち)祖父(そふ)説得(せっとく)すれば()めに()()めるかもしれないという期待(きたい)すがりたい気持(きも)ち。
()めの仕事(しごと)(みと)めようとしない祖父(そふ)態度(たいど)困惑(こんわく)しながら、決断力(けつだんりょく)(よわ)さを自覚(じかく)して落胆(らくたん)するとともに、父親(ちちおや)たちとの再会(さいかい)(ひか)えて()めとの()()(かた)模索(もさく)してこなかったことを後悔(こうかい)する気持(きも)ち。