科学(かがく)館(かん)が 科学(かがく)の視点(してん)で わかりやすく伝(つた)える 新型(しんがた)コロナウイルス

高知(こうち)みらい科学(かがく)館(かん) 

Kochi MIRAI Science Center

1 新型(しんがた)コロナウイルスとは?

①「ウイルス」とは?

「ウイルス」は、風邪(かぜ)やインフルエンザ、水(みず)ぼうそう、おたふくかぜ、 はしかなどの感染(かんせん)症(しょう)を引(ひ)き起(お)こす病原(びょうげん)体(たい)です。「コロナウイルス」のほかに、「インフルエンザウイルス」や「ノロウイルス」などが有名(ゆうめい)ですね。

大腸(だいちょう)菌(きん)などの「細菌(さいきん)」も、ウイルスと同(おな)じように感染(かんせん)症(しょう)を引(ひ)き起(お)こす 小(ちい)さな病原(びょうげん)体(たい)ですが、「細菌(さいきん)」の大(おお)きさが、1~10μm(マイクロメートル) (1mm の 1/1000~1/100)くらいの大(おお)きさなのに対(たい)して、「ウイルス」 の大(おお)きさは、10~100nm(ナノメートル)(1mm の 1/100000~1/10000) くらいの大(おお)きさしかありません。

細菌(さいきん)とちがい、ウイルスに細胞(さいぼう)はなく、生物(せいぶつ) ではありません。

「細菌(さいきん)」は自分(じぶん)で増(ふ)える(増殖(ぞうしょく)する)ことが できますが、「ウイルス」は生物(せいぶつ)の体(からだ)の中(なか)の細胞(さいぼう) に入(はい)らないと、増(ふ)えることができません。

つまり、物(もの)の表面(ひょうめん)についたウイルスがどんどん 増(ふ)えていくなどということはありません。


②「コロナ」とは?

「コロナ」とは、太陽(たいよう)のまわりの高温(こうおん)のガスの 部分(ぶぶん)のことで、「冠(かんむり)」という意味(いみ)の言葉(ことば) です。

「コロナウイルス」は、この「コロナ」に形(かたち)が 似(に)ていることからつけられた名前(なまえ)です。

CGで描(えが)かれた新型(しんがた)コロナウイルス
太陽(たいよう)のコロナ


③「新型(しんがた)」とは?

ヒトに感染(かんせん)する「コロナウイルス」には、これまで、風邪(かぜ)のウイルス4種類(しゅるい)と、「SARS(サーズ)コロナウイルス」、「MERS(マーズ)コロナウイルス」の合(あ)わせて6種類(しゅるい)が知(し)られていましたが、今回(こんかい)見(み)つかった コロナウイルスは、これまでの6種類(しゅるい)とは違(ちが)う、新(あたら)しいタイプだということで、「新型(しんがた)」といわれています。

今回(こんかい)の「新型(しんがた)コロナウイルス」は「SARS コロナウイルス2」という名前(なまえ)がつけられています。

「COVID-19」というのは、今回(こんかい)の新型(しんがた)コロナウイルスによる感染(かんせん)症(しょう)につけられた名前(なまえ)です。

2 どうなったら感染(かんせん)・発症(はっしょう)するのか

① ウイルスは体(からだ)のどこから出(で)てくるか

ウイルスは、感染(かんせん)した人(ひと)が咳(せき)や会話(かいわ)をしたときに口(くち)から飛(と)ぶ「飛沫(ひまつ)」に 含(ふく)まれています。

感染(かんせん)した人(ひと)の「手(て)」からウイルスが出(で)てくるわけではありません。感染(かんせん)した人(ひと)が 咳(せき)やくしゃみを手(て)でおさえたときなどに、手(て)にウイルスがつきます。



② ウイルスはどこから体(からだ)に入(はい)るか

ウイルスは、鼻(はな)や口(くち)、目(め)の粘膜(ねんまく)などから体(からだ)に入(はい)るといわれています。

ウイルスを鼻(はな)や口(くち)から吸(す)いこんだり、ウイルスがついた手(て)で顔(かお)(目(め)・鼻(はな)・口(くち))をさわったりすることにより、ウイルスが体(からだ)に入(はい)ってしまいます。

ウイルスが「手(て)」から体(からだ)に入(はい)るわけではありません。ただし「手(て)」は、顔(かお)をさわったり、いろんなところ・いろんな物(もの)をさわったりすることにより、ウイルスを広(ひろ)げてしまうかもしれないため、注意(ちゅうい)しておく必要(ひつよう)があります。



③ 感染(かんせん)・発症(はっしょう)

ふつう、ウイルスが体(からだ)に入(はい)ると、体(からだ)は「免疫(めんえき)」というはたらきで、ウイルスが入(はい)った細胞(さいぼう)をこわします。

一方(いっぽう)、ウイルスは生物(せいぶつ)の体(からだ)(細胞(さいぼう))に入(はい)ると、どんどん増(ふ)えていきます。
体(からだ)に入(はい)るウイルスの数(かず)が多(おお)くなると、免疫(めんえき)のはたらきが追(お)いつかなくなり、「感染(かんせん)症(しょう)」を引(ひ)き起(お)こします。

ウイルスによる感染(かんせん)症(しょう)から身(み)を守(まも)るには、体(からだ)に入(はい)るウイルスの数(かず)を少(すこ)しでも減(へ)らすことが大切(たいせつ)になります。


④ 飛沫(ひまつ)感染(かんせん)と接触(せっしょく)感染(かんせん)

新型(しんがた)コロナウイルス感染(かんせん)の要因(よういん)としては、「飛沫感染(ひまつかんせん)」と「接触感染(せっしょくかんせん)」の2つが考(かんが)えられています。

「飛沫(ひまつ)感染(かんせん)」は、咳(せき)や会話(かいわ)のときに口(くち)から飛(と)ぶ「飛沫(ひまつ)」に含(ふく)まれるウイルスをほかの人(ひと)が鼻(はな)や口(くち)から吸(す)いこんでしまうことによって起(お)こります。

「接触(せっしょく)感染(かんせん)」は、飛沫(ひまつ)などによりウイルスがついた「手(て)」から直接(ちょくせつ)、または、ドアノブや手(て)すり、エレベーターのボタンなどを通(とお)して、ほかの人(ひと)の「手(て)」にウイルスが移(うつ)り、その「手(て)」で顔(かお)(目(め)・鼻(はな)・口(くち))をさわることなどにより起(お)こります。

3 飛沫(ひまつ)感染(かんせん)から身(み)を守(まも)るには

①「3つの密(みつ)」のこと

「3つの密(みつ)」=「換気(かんき)の悪(わる)い密閉(みっぺい)空間(くうかん)」「多数(たすう)が集(あつ)まる密集(みっしゅう)場所(ばしょ)」「間近(まぢか)で会話(かいわ)や発声(はっせい)をする密接(みっせつ)場面(ばめん)」を避(さ)けるように言(い)われているのは、主(おも)に「飛沫(ひまつ)感染(かんせん)」を防(ふせ)ぐためです。特(とく)に、この3つの条件(じょうけん)が重(かさ)なると、飛沫(ひまつ)感染(かんせん)(または直接(ちょくせつ)の接触(せっしょく)による接触(せっしょく)感染(かんせん))による集団(しゅうだん)感染(かんせん)が起(お)こりやすいと考(かんが)えられます。

反対(はんたい)にいうと、屋外(おくがい)または十分(じゅうぶん)に換気(かんき)されている屋内(おくない)にいて、ほかの人(ひと)と近(ちか)づきすぎなければ、感染(かんせん)のリスクは減(へ)らせるといえます。


②「マスク」のこと

自分(じぶん)が感染(かんせん)している(ウイルスをもっている)場合(ばあい)、マスクをつけていると、飛沫(ひまつ)が飛(と)ぶことをおさえることができるので、周(まわ)りに広(ひろ)げるウイルスの数(かず)を減(へ)らすことができます。

ほかの人(ひと)の近(ちか)くで会話(かいわ)などをするとき、マスクをつけていると、相手(あいて)の飛沫(ひまつ)を直接(ちょくせつ)吸(す)い込(こ)んでしまうのを、多少(たしょう)おさえることができるかもしれませんが、ウイルスの大(おお)きさは、一般(いっぱん)的(てき)なマスクの網目(あみめ)よりもかなり小(ちい)さいので、体(からだ)に入(はい)るウイルスを防(ふせ)ぐ効果(こうか)はあまりないといわれています。

ただし、今回(こんかい)の新型(しんがた)コロナウイルスの場合(ばあい)、症状(しょうじょう)がない感染(かんせん)者(しゃ)が多(おお)いといわれているので、知(し)らないうち に自分(じぶん)が感染(かんせん)していて、ほかの人(ひと)にうつしてしまうことを防(ふせ)ぐためには、やはり、マスクをしておくことが 重要(じゅうよう)です。

4 接触(せっしょく)感染(かんせん)から身(み)を守(まも)るには

① 顔(かお)をさわらない

体(からだ)に入(はい)るウイルスの数(かず)を減(へ)らすことにより、感染(かんせん)のリスクを減(へ)らすことができます。

ウイルスは鼻(はな)や口(くち)、目(め)の粘膜(ねんまく)などから体(からだ)に入(はい)るといわれているので、ウイルスがついた(かもしれない)手(て)で顔(かお)をさわらないようにするのがとても大切(たいせつ)です。


② 手(て)洗(あら)い

とはいえ、人(ひと)は無(む)意識(いしき)に顔(かお)をさわってしまいます。マスクをしていると、顔(かお)をさわる回数(かいすう)も増(ふ)えてしまうかもしれません。(直接(ちょくせつ)、鼻(はな)や口(くち)にさわることは減(へ)るかもしれませんが。)

そのため、こまめに手(て)を洗(あら)う必要(ひつよう)があります。

せっけんで手(て)を洗(あら)い、よくかわかすことにより、手(て)についた多(おお)くのウイルスを洗(あら)い流(なが)すことができます。ウイルスをゼロにすることはできませんが、少(すこ)しでも減(へ)らすことが大切(たいせつ)です。

特(とく)に、いろんな人(ひと)がさわるものにさわったあとは、顔(かお)にさわる前(まえ)に手(て)を洗(あら)いましょう。

また、いろんな人(ひと)がさわるものにさわったあとに、例(たと)えばスマートフォンにさわったとしたら、それにも ウイルスがついているかもしれません。

ただし、ウイルスが物(もの)の表面(ひょうめん)などで増(ふ)えることはありませんし、物(もの)についたウイルスは、ふつう、数(すう)時間(じかん) から数日(すうじつ)で感染(かんせん)力(りょく)を失(うしな)いますので、あまり心配(しんぱい)しすぎなくても良(よ)いかもしれません。

(新型(しんがた)コロナウイルスが物(もの)の表面(ひょうめん)で、どれくらいの期間(きかん)、感染(かんせん)力(りょく)を保(たも)てるかはまだわかっていません。)


③ アルコール消毒(しょうどく)

手(て)を洗(あら)ったあとのアルコール消毒(しょうどく)、または、手(て)を洗(あら)えないときに、手洗(てあら)いの代(か)わりにアルコール消毒(しょうどく)をすることは、新型(しんがた)コロナウイルスに対(たい)しても有効(ゆうこう)だといわれています。手(て)洗(あら)いと同(おな)じように、手(て)の全体(ぜんたい)にアルコールをよくつける必要(ひつよう)があります。

いろんな人(ひと)がさわる物(もの)は、定期(ていき)的(てき)にアルコールなどで消毒(しょうどく)することで、ウイルスの数(かず)を減(へ)らすことができます。


5 デマやうわさにまどわされない

① デマやうわさ

今回(こんかい)の新型(しんがた)コロナウイルスのように、多(おお)くの人(ひと)が不安(ふあん)になるようなことが起(お)こると、根拠(こんきょ)のないデマやうわさが広(ひろ)まることがよくあります。人間(にんげん)は「わからないこと」による不安(ふあん)を解消(かいしょう)しようとして、デマやうわさが生(う)まれてしまうようです。

昔(むかし)は、わからないことの多(おお)くは「妖怪(ようかい)のせい」にして終(お)わっていたのですが、今(いま)は、わからないことに、それらしい理由(りゆう)をつけてデマやうわさが広(ひろ)まってしまいます。しかも、ここ数(すう)年(ねん)は SNS が発達(はったつ)したため、デマやうわさが広(ひろ)まるスピードも速(はや)くなっています。「みんなのために」と思(おも)って、そのデマやうわさを広(ひろ)めてしまうということも起(お)こっています。

② 新型(しんがた)コロナウイルスに関(かん)するデマやうわさ

今回(こんかい)の新型(しんがた)コロナウイルスの場合(ばあい)、「科学(かがく)的(てき)っぽい」デマやうわさが広(ひろ)まっていて、その「科学(かがく)的(てき)っぽさ」がそのデマやうわさの信頼(しんらい)度(ど)を高(たか)めてしまっているように思(おも)います。

例(たと)えば、「新型(しんがた)コロナウイルスは○○度(ど)で死(し)ぬので、お湯(ゆ)を飲(の)むと良(よ)い」、「花崗岩(かこうがん)は放射(ほうしゃ)線(せん)が出(で)るので、新型(しんがた)コロナウイルスを殺(ころ)せる」などです。いずれも、全(まった)く科学(かがく)的(てき)根拠(こんきょ)のない話(はなし)です。


③ まどわされないために

デマやうわさにまどわされないためには、その情報(じょうほう)が、正(ただ)しい情報(じょうほう)かどうか、信頼(しんらい)できる情報(じょうほう)かどうかを見極(みきわ)めないといけません。
特(とく)に、インターネット上(じょう)の情報(じょうほう)は要注意(ようちゅうい)です。テレビや新聞(しんぶん)は、基本(きほん)的(てき)には根拠(こんきょ)のあるものしか出(だ)さないので、比較(ひかく)的(てき)信頼(しんらい)できます。

ただし最近(さいきん)は、テレビや新聞(しんぶん)で「インターネットで ○○が話題(わだい)になっています。」といったニュースや記事(きじ)もあるので、注意(ちゅうい)が必要(ひつよう)です。

インターネット上(じょう)の情報(じょうほう)でも、国(くに)や地方(ちほう)自治(じち)体(たい)、研究(けんきゅう)機関(きかん)などが出(だ)している「科学(かがく)的(てき)なデータ」や「事実(じじつ) としての情報(じょうほう)」は、信頼(しんらい)度(ど)が高(たか)いといえます。ただし、そのデータや事実(じじつ)をもとに発表(はっぴょう)されたものが、全(すべ)て正(ただ)しいとは限(かぎ)りません。間違(まちが)った解釈(かいしゃく)や判断(はんだん)もあり得(う)るからです。

複数(ふくすう)の「メディア」や「発信(はっしん)元(もと)」からの情報(じょうほう)は信頼(しんらい)性(せい)が高(たか)まります。1つのメディアや発信(はっしん)元(もと)からの情報(じょうほう)だけだと、誤(あやま)った情報(じょうほう)や偏(かたよ)った考(かんが)え方(かた)である可能(かのう)性(せい)もあるからです。

また、テレビでも、ニュース以外(いがい)の番組(ばんぐみ)の情報(じょうほう)は特(とく)に注意(ちゅうい)が必要(ひつよう)です。1(ひと)人(り)の専門(せんもん)家(か)だけの考(かんが)えをもとにつくっている可能(かのう)性(せい)があるからです。専門(せんもん)家(か)とはいえ、1人(ひとり)の意見(いけん)だと、やはり間違(まちが)いや偏(かたよ)りがあります。

今(いま)、SNSなどで広(ひろ)まっているデマやうわさの中(なか)には、いかにも信頼(しんらい)できる発信(はっしん)元(もと)からの情報(じょうほう)であるかのように書(か)かれているものがあります。
その情報(じょうほう)が正(ただ)しいかどうか、信頼(しんらい)できるかどうかを判断(はんだん)するには、 情報(じょうほう)の元(もと)を直接(ちょくせつ)確認(かくにん)する必要(ひつよう)があります。

「ウソかもしれない情報(じょうほう)」に含(ふく)まれている情報(じょうほう)はウソかもしれないからです。

不安(ふあん)の中(なか)では、冷静(れいせい)な判断(はんだん)ができなくなってしまいます。こういった状況(じょうきょう)だからこそ、デマやうわさが増(ふ)えることをふまえ、一度(いちど)落(お)ち着(つ)いて、「自分(じぶん)で情報(じょうほう)を確(たし)かめるまで信(しん)じない」という心構(こころがま)えが大切(たいせつ)かもしれません。

6 偏見(へんけん)や差別(さべつ)をしない

① 不安(ふあん)による偏見(へんけん)や差別(さべつ)

新型(しんがた)コロナウイルスの感染(かんせん)者(しゃ)やその家族(かぞく)、関係(かんけい)者(しゃ)のほか、病院(びょういん)で働(はたら)く人(ひと)たちや、運送(うんそう)などの仕事(しごと)をする 人(ひと)たちに対(たい)して、偏見(へんけん)や差別(さべつ)のようなことが起(お)こっているようです。これは、ウイルスが目(め)に見(み)えないことから、不安(ふあん)になってしまい、必要(ひつよう)以上(いじょう)におそれてしまった結果(けっか)だと考(かんが)えられます。


② 目(め)に見(み)えないウイルスをイメージする

ウイルスは目(め)には見(み)えませんが、「ウイルスは、感染(かんせん)した人(ひと)の口(くち)から出(で)て、手(て)や物(もの)について広(ひろ)がり、目(め)・ 鼻(はな)・口(くち)からほかの人(ひと)の体(からだ)に入(はい)る」ということがイメージできれば、必要(ひつよう)以上(いじょう)におそれずにすみます。

人(ひと)と会(あ)うときも、お互(たが)いマスクをしていて、短(みじか)い時間(じかん)で、その前後(ぜんご)に手(て)洗(あら)いをしていれば、感染(かんせん)のリスク を減(へ)らすことができます。

③ 自分(じぶん)の体(からだ)も相手(あいて)の体(からだ)も守(まも)る

今回(こんかい)の新型(しんがた)コロナウイルスは、感染(かんせん)しても症状(しょうじょう)が出(で)ない人(ひと)も多(おお)いといいます。

誰(だれ)もが、「自分(じぶん)も感染(かんせん)しているかもしれない」と考(かんが)え、お互(たが)いに対策(たいさく)をすることにより、偏見(へんけん)や差別(さべつ)ではなく、「自分(じぶん)の体(からだ)も相手(あいて)の体(からだ)も守(まも)る」ことを考(かんが)えたいですね。

さいごに


新型(しんがた)コロナウイルスは目(め)に見(み)えません。

目(め)に見(み)えないからこそ、不安(ふあん)があります。


しかも、今回(こんかい)のコロナウイルスは「新型(しんがた)」です。

たしかに、わかっていないことも多(おお)いです。


でも人間(にんげん)は、新型(しんがた)ではないコロナウイルスについてはよくわかっています。

それをもとに、今(いま)、世界中(せかいじゅう)で、新型(しんがた)コロナウイルスの研究(けんきゅう)がすすんでいます。

私(わたし)たちは、薬(くすり)やワクチンをつくってくれるのを待(ま)つしかありません。


待(ま)っている間(あいだ)に自分(じぶん)や大切(たいせつ)な人(ひと)が感染(かんせん)しないために、

また、感染(かんせん)してしまう人(ひと)を少(すこ)しでも減(へ)らすために、

もし感染(かんせん)したとしても、亡(な)くなってしまう人(ひと)を少(すこ)しでも減(へ)らすために、

私(わたし)たちにできることをするだけです。




人(ひと)ごみに行(い)かないこと。

こまめに手(て)を洗(あら)うこと。

人(ひと)の近(ちか)くに行(い)くときはマスクをつけること。




私(わたし)たちにできることをしながら、科学(かがく)の力(ちから)、人間(にんげん)の力(ちから)に期待(きたい)しましょう。




2020年(ねん)4月(がつ)12日(にち)作成(さくせい) 高知(こうち)みらい科学(かがく)館(かん)

Kochi MIRAI Science Center




パンフレット「科学(かがく)館(かん)が 科学(かがく)の視点(してん)で わかりやすく伝(つた)える 新型(しんがた)コロナウイルス」

Q&A(キューアンドエー)

高知(こうち)みらい科学(かがく)館(かん)が制作(せいさく)したパンフレット「科学(かがく)館(かん)が 科学(かがく)の視点(してん)で わかりやすく伝(つた)える 新型(しんがた)コロナウイルス」について、本文(ほんぶん)で説明(せつめい)しきれなかった部分(ぶぶん)を補足(ほそく)するため、Q&A(キューアンドエー)を作成(さくせい)しました。

新型(しんがた)コロナウイルス対策(たいさく)の参考(さんこう)にしていただければ幸(さいわ)いです。

Q1 布(ぬの)マスクは効果(こうか)があるのか?

布(ぬの)マスクも含(ふく)め、マスクには、咳(せき)や会話(かいわ)のときに口(くち)から出(で)る飛沫(ひまつ)が飛(と)ぶのをおさえる効果(こうか)があります。

ただし、布(ぬの)マスクに限(かぎ)らず、ふつうのマスクは、ウイルスを通(とお)してしまうので、入(はい)ってくるウイルスを防(ふせ)ぐことはできません。

新型(しんがた)コロナウイルスは症状(しょうじょう)のない感染(かんせん)者(しゃ)も多(おお)いといわれていることから、自分(じぶん)が感染(かんせん)していた場合(ばあい)、ほかの人(ひと)にうつさないために、マスクをする必要(ひつよう)があります。

Q2 マスクをしていたら、「3つの密(みつ)」の場所(ばしょ)に行(い)っても良(よ)いか?

マスクをしていても、「3つの密(みつ)」の場所(ばしょ)に行(い)ってはいけません。

「3つの密(みつ)」の場所(ばしょ)では、空気(くうき)中(ちゅう)にウイルスを含(ふく)んだ飛沫(ひまつ)がただよっていると考(かんが)えられます。

ふつうのマスクは、ウイルスを通(とお)してしまうため、「3つの密(みつ)」の場所(ばしょ)に行(い)くと、ウイルスを吸い込(すいこ)んでしまうことになります。

Q3 いろんな人(ひと)がさわる物(もの)にはさわらないほうが良(よ)いか?

いろんな人(ひと)がさわる物(もの)は、ウイルスがついている可能(かのう)性(せい)が高(たか)くなりますので、もちろん、さわらずに済(す)むならさわらないほうが良(よ)いですが、日常(にちじょう)生活(せいかつ)ではそうもいきません。

本文(ほんぶん)にも書(か)いたとおり、手(て)からウイルスが入(はい)ってくるわけではありませんので、さわったあとに手(て)を洗(あら)うことを心(こころ)がけていれば、感染(かんせん)を防(ふせ)ぐことができると考(かんが)えられます。

Q4 アルコール消毒(しょうどく)は必(かなら)ずしたほうが良(よ)いか?

アルコール消毒(しょうどく)よりも手(て)洗(あら)いを優先(ゆうせん)に考(かんが)えたほうが良(よ)いです。

せっけんで丁寧(ていねい)に手(て)を洗(あら)うことにより、手(て)についたウイルスの多(おお)くを洗い流(あらいなが)すことができますので、手(て)が洗(あら)えるときは、それで十分(じゅうぶん)だといえます。アルコール消毒(しょうどく)は手(て)が洗(あら)えないときに手洗(てあら)いの代(か)わりに、または、手(て)を洗(あら)ったあとに補助(ほじょ)的(てき)に行(おこな)うという考(かんが)えで良(よ)いと思(おも)われます。

特(とく)に、アルコールに弱(よわ)い方(かた)は、無理(むり)にアルコール消毒(しょうどく)をせず、丁寧(ていねい)な手洗(てあら)いをするほうが良(よ)いですね。

Q5 ウイルスがただよっている空間(くうかん)を消毒(しょうどく)することはできるか?

ウイルスが空間(くうかん)にただよっていると、感染(かんせん)のリスクが高(たか)まります。

しかし、消毒(しょうどく)剤(ざい)などを直接(ちょくせつ)空間(くうかん)に吹(ふ)きかけるのは危険(きけん)です。ウイルスに強(つよ)い消毒(しょうどく)剤(ざい)は、人(ひと)の健康(けんこう)にも良(よ)くないことが多(おお)いからです。また、アルコールは引火(いんか)してしまう危険(きけん)性(せい)もあります。

ウイルスがただよっているかもしれない空間(くうかん)は、消毒(しょうどく)しようとするよりも、換気(かんき)して空気(くうき)を入(い)れ替(か)えるのが良(よ)いと思(おも)われます。そもそも、ウイルスがただよわないようにするためにも、はじめから風通(かぜとお)しの良(よ)い空間(くうかん)にしておくことが大切(たいせつ)だといえます。

Q6 日々(ひび)の「感染(かんせん)者(しゃ)数(すう)」の数字(すうじ)をどうとらえれば良(よ)いのか。

日々(ひび)、各(かく)都道府県(とどうふけん)の感染(かんせん)者(しゃ)数(すう)が報告(ほうこく)されていますが、日(ひ)によって、また、都道府県(とどうふけん)によって、検査(けんさ)数(すう)が全(まった)く違(ちが)いますので、1~2日(ふつか)で、増(ふ)えた/減(へ)ったといって、一喜(いっき)一憂(いちゆう)するのはあまり意味(いみ)がありません。ここ1週間(いっしゅうかん)と、その前(まえ)の1週間(いっしゅうかん)を比(くら)べるなど、ある程度(ていど)の期間(きかん)で比(くら)べたほうが、傾向(けいこう)が分(わ)かります。

もちろん、人口(じんこう)の多(おお)い東京(とうきょう)や大阪(おおさか)と比(くら)べて、感染(かんせん)者(しゃ)数(すう)が少(すく)ないからといって、「まだ大丈夫(だいじょうぶ)」などと考(かんが)えてはいけません。さらに、同(おな)じ県(けん)の中(なか)でも一部(いちぶ)の地域(ちいき)に感染(かんせん)者(しゃ)が集中(しゅうちゅう)している場合(ばあい)、その地域(ちいき)は、より感染(かんせん)拡大(かくだい)のリスクが高(たか)まっていると考(かんが)える必要(ひつよう)があります。

また、累積(るいせき)の感染(かんせん)者(しゃ)数(すう)には、すでに退院(たいいん)した人(ひと)も含(ふく)まれていますので、この数字(すうじ)は増(ふ)え続(つづ)けることになります。ある程度(ていど)の期間(きかん)で比(くら)べたときに、新(あたら)しい感染(かんせん)者(しゃ)数(すう)が少(すく)なくなり、退院(たいいん)する人(ひと)が増(ふ)えてきたら、新型(しんがた)コロナウイルスは収束(しゅうそく)しつつあるといえます。

ただし、県内(けんない)で新(あたら)しい感染(かんせん)者(しゃ)が出(で)なくなってきても、しばらくは感染(かんせん)者(しゃ)がゼロになることはありません。症状(しょうじょう)のない感染(かんせん)者(しゃ)も多(おお)いため、収(おさ)まってきたからといって、油断(ゆだん)すると、また感染(かんせん)者(しゃ)が増(ふ)えてしまいます。

一度(いちど)収(おさ)まったように見(み)えても、また、緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)が解除(かいじょ)されることになっても、「3つの密(みつ)」を避(さ)ける行動(こうどう)や、こまめに手洗(てあら)いすること、マスクをつけることは、しばらく続(つづ)けるべきだといえます。

Q7 どうなったら感染(かんせん)者(しゃ)が減(へ)るのか。

1人(ひとり)の感染(かんせん)者(しゃ)が、平均(へいきん)で1人(ひとり)未満(みまん)の人(ひと)にしかウイルスをうつさない状態(じょうたい)が長期(ちょうき)間(かん)続(つづ)くと、感染(かんせん)者(しゃ)は減(へ)っていきます。反対(はんたい)に、1人(ひとり)の感染(かんせん)者(しゃ)が、平均(へいきん)で1人(ひとり)以上(いじょう)の人(ひと)にウイルスをうつしている状態(じょうたい)が続(つづ)いてしまうと、感染(かんせん)者(しゃ)は増(ふ)えていきます。

日本(にほん)での調査(ちょうさ)結果(けっか)によると、感染(かんせん)者(しゃ)のうち、約(やく)80%の人(ひと)は、誰(だれ)にもウイルスをうつしていなかった一方(いっぽう)で、何(なん)人(にん)かの感染(かんせん)者(しゃ)は、1人(ひとり)から多(おお)くの人(ひと)にウイルスをうつしてしまっていました。それらの例(れい)は、いずれも、いわゆる「3つの密(みつ)」にあてはまる状態(じょうたい)で起(お)こっていたといいます。

このことから、みんなが、「3つの密(みつ)」を避(さ)ければ、複数(ふくすう)の人(ひと)にウイルスをうつしてしまう例(れい)を減(へ)らすことができ、結果(けっか)的(てき)に、感染(かんせん)者(しゃ)を減(へ)らしていけると考(かんが)えられています。

ですので、今後(こんご)、新型(しんがた)コロナウイルスが収(おさ)まってきたとしても、「3つの密(みつ)」にあてはまるような状況(じょうきょう)になると、また感染(かんせん)者(しゃ)が増(ふ)えることになってしまうため、注意(ちゅうい)が必要(ひつよう)です。

Q8 気(き)を付(つ)けていたら感染(かんせん)しないか。

いくら気(き)を付(つ)けていても、どんな人(ひと)でも、感染(かんせん)することはあります。ウイルスは目(め)に見(み)えないからです。

新型(しんがた)コロナウイルスに感染(かんせん)した芸能(げいのう)人(じん)などが、謝(あやま)っているのを見(み)ますが、感染(かんせん)した人(ひと)が悪(わる)いわけではないので、謝(あやま)る必要(ひつよう)はありません。ましてや、感染(かんせん)した人(ひと)を責(せ)めるようなことはするべきではありません。

今回(こんかい)の新型(しんがた)コロナウイルスは症状(しょうじょう)のない人(ひと)が多(おお)いといわれています。誰(だれ)がかかっていてもおかしくありません。みんなが、自分(じぶん)もウイルスをもっているかもしれないと思(おも)って行動(こうどう)することが、お互(たが)いに感染(かんせん)するのを防(ふせ)ぐことにつながります。

Q9 このパンフレットについて

このパンフレットは、科学(かがく)の一般(いっぱん)的(てき)な知識(ちしき)や、厚生(こうせい)労働(ろうどう)省(しょう)などが公開(こうかい)している情報(じょうほう)を、高知(こうち)みらい科学(かがく)館(かん)が科学(かがく)を伝(つた)えるプロとしての役割(やくわり)を果(は)たすべく、「科学(かがく)の視点(してん)で」「わかりやすく」ということを意識(いしき)して制作(せいさく)したものです。当館(とうかん)が自(みずか)ら制作(せいさく)したものですので、ご自由(じゆう)に印刷(いんさつ)するなどしてご利用(りよう)ください。



2020年(ねん)4月(がつ)26日(にち)作成(さくせい) 高知(こうち)みらい科学(かがく)館(かん)
Kochi MIRAI Science Center




マルチメディアデイジー図書(としょ)製作(せいさく):
オーテピア高知(こうち)声(こえ)と点字(てんじ)の図書(としょ)館(かん) 2020年(ねん)4月(がつ)